特集令和5年度からの障害者雇用率の設定等
来年4月に2.5%・令和8年7月に2.7% 雇用率を引き上げて報告義務も拡大
令和5年3月1日、政府(内閣)は、障害者の雇用促進及び職業安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令」(政令第44号)を制定した。これに伴い加藤勝信厚生労働大臣は、同日付で「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(厚生労働省令第16号)を定めた。 上記の改正政省令は、令和5年1月18日開催の「第123回 労働政策審議会障害者雇用分科会」(分科会長・山川隆一東京大学大学院法学政治学研究科教授)において審議されたもの(諮問案件)。⑴障害者の法定雇用率の段階的な引上げ(令和6年4月以降)、⑵除外率の引下げ(令和7年4月以降)――などの改正が盛り込まれている。 ⑴の障害者雇用率の引上げ(下表参照)については、当初、厚生労働省から、令和5年度からの一般事業主の障害者雇用率を「2.7%」とするものの、経過措置として令和5年度は令和4年度と同一の「2.3%」とし、令和6年度から「2.5%」、令和8年度から「2.7%」に段階的に引き上げる案が示された。審議の結果、同分科会は「おおむね妥当」と認めたが、労働政策審議会会長への報告に当たって、障害者雇用率を「2.5%」とする経過措置の期限を3ヵ月間後ろ倒しし「令和8年6月30日」に修正すべきとの意見を付した。このため、一般事業主の障害者雇用率の「2.7%」への引上げは令和8年7月1日からとなった経緯をもつ。 また、令和5年2月2日開催の「第124回 障害者雇用分科会」では、令和6年4月1日からの改正障害者雇用促進法の施行に伴う「特定短時間労働者の雇用率算定」及び「障害者雇用調整金と報奨金の支給調整」の案などが示された。上記については、令和5年2月24日からの政府のパブリック・コメント制度にて意見募集が行われており(令和5年3月25日締切)、今後、障害者分科会において必要な検討が行われる。 そこで、今号では、主な障害者雇用施策の改正項目について、①障害者雇用率の引上げ等(令和6年4月以降)、②除外率の引下げ(令和7年4月以降)、③障害者雇用における障害者の算定方法の変更(令和6年4月以降)、④障害者雇用調整金と報奨金の支給調整(令和6年4月以降)――などの一般事業主に影響が大きいと思われるものを中心にみていく。
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