子のいない60歳未満の夫も原則5年の有期給付の対象に ダイジェスト一覧

特集改正年金法②(遺族年金の見直し)

子のいない60歳未満の夫も原則5年の有期給付の対象に

 前回(本誌第2209号(2025年7月11日付け))の特集「改正年金法①(被用者保険の適用拡大等、在職老齢年金の見直し)」では、2025年6月13日に可決・成立し、同年6月20日に公布された「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」(以下「改正法」という)の、I「働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化等を踏まえた制度を構築するとともに、高齢期における生活の安定及び所得再分配機能の強化を図るための公的年金制度の見直し」の中の、1「被用者保険の適用拡大等」、2「在職老齢年金の見直し」──について紹介した。今号では、Iの3「遺族年金の見直し」をみていく。  遺族年金の見直しでは、子が受給する遺族基礎年金について、現行では、「遺族基礎年金の受給権を有さないその子の父、または母と生計を同じく(収入要件はなく、住民票上同一世帯に属している等)する間、当該遺族基礎年金は支給停止される」が、改正法では当該規定を見直し、『子が受給できるようにする』としている。  一方、遺族厚生年金については、受給することができる遺族について、現行では、「被保険者等の死亡当時、その者によって生計を維持(住民票上同一世帯に属し、受給権者の前年の収入が850万円未満など)されていた配偶者である妻、配偶者である55歳以上の夫」などとされているが、改正法では、『被保険者等の死亡当時、その者と生計を同じくしていた60歳未満の配偶者は、遺族厚生年金を受給することができる遺族とする』としている。  また、「遺族厚生年金の受給権を取得した当時、一定要件を満たす60歳未満の配偶者が受給する遺族厚生年金については、当該遺族厚生年金の額(死亡した被保険者等の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する額)に、死亡した被保険者等の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の1に相当する額を加算する」とされている。これに伴い、「中高齢寡婦加算を段階的に減額し、令和35年4月2日以降に遺族厚生年金の受給権を取得した者については、当該加算をしない」としている。  さらに、「死亡した被保険者等が、被保険者だった期間中に配偶者がいた場合で、その配偶者が60歳に達する前に支給すべき事由が生じた遺族厚生年金の受給権者のときなどは、年金事務所に対し、婚姻等対象期間(死亡した被保険者とその死別した配偶者の婚姻期間等)の標準報酬月額及び標準賞与額の改定、または決定を請求することができる」いわゆる『死亡分割』を新たに設けるとされている。  これらは、令和10年4月1日を施行期日としている。

(編集部)

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