特集「精神障害の労災認定基準」の改正
評価表にカスハラや感染症等を追加し 医学意見の収集方法を効率化
「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」については、平成23年の策定から10年以上が経過する中で、近年の社会情勢の変化等に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて、厚生労働省の「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」(座長・黒木宣夫東邦大学名誉教授。以下「検討会」)において検証などを行い、令和5年7月4日に報告書がとりまとめられた(本誌第2143号(2023年8月21日付)特集に掲載)。 同報告書を踏まえ、厚生労働省は令和5年9月1日、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、同省労働基準局長から都道府県労働局長に対して、通達「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令5・9・1 基発0901第2号。以下「改正認定基準」)を発出した。同省は、その旨を令和5年10月4日開催の「第108回 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」(部会長・守島基博学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授)に報告している。 その改正項目は、①新たにカスタマーハラスメントや感染症等に関する項目を「業務による心理的負荷評価表」に追加すること、②6か月以内に「特別な出来事」がない場合も「業務による強い心理的負荷」により悪化したときは、悪化した部分の業務起因性を認めること、③医学意見の収集方法を効率化すること──など多岐にわたっている。 なお、同省労働基準局補償課長は令和5年9月1日、通達「心理的負荷による精神障害の認定基準に係る運用上の留意点について」(令5・9・1 基補発0901第1号。以下「運用通達」)を都道府県労働局労働基準部長宛てに発出して、その具体的運用に当たっての留意点などを示した。 同省では、改正認定基準に基づいて、一層迅速・適正な労災補償を行っていくとしている。 《改正認定基準(通達)》 https://www.mhlw.go.jp/content/001140931.pdf 《運用通達》 https://www.mhlw.go.jp/content/001140932.pdf
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