労働判例研究最高裁判例解説
労災支給処分における取消訴訟の原告適格・違法性の承継
「あんしん財団事件」(最一小 令和6年7月4日判決)
特定事業主としては保険料認定処分の取消訴訟等により争うことに
「あんしん財団事件」(最一小 令和6年7月4日判決)は、メリット制における「特定事業の事業主は、…労災支給処分の取消訴訟の原告適格を有しない」と判断した最高裁判決である(15ページ~19ページ参考1参照)。 本件では、関連して、労災保険給付の支給決定の違法性が事業主に対する労働保険料の認定処分に承継するかについても問題となっていた。 第一審判決(東京地裁 令和4年4月15日判決)では、原告適格を否定した上で違法性の承継を肯定する判断がなされていた。 これに対して、第二審判決(東京高裁 令和4年11月29日判決)では、原告適格を肯定し、違法性の承継を否定する判断がなされた。 このように第一審判決と第二審判決の結論が異なっていたこともあり、最高裁の判断が注目されていた。 そこで、本稿では、行政法における基本的な概念や行政事件訴訟法の考え方を含めて、本判決について解説する。
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