特集雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書
カスハラの定義は社会通念上相当な範囲超えた言動など3要素満たすものと示す
厚生労働省の「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」では、令和6年2月から同年8月の11回にわたって、①「女性活躍推進の方向性」、②「女性活躍と月経、不妊治療、更年期等の健康課題との関係」、③「ハラスメントの現状と対応の方向性」──に関する検討を行い、同年8月8日に報告書を取りまとめ公表した。 なお、ハラスメントに関しては、とりわけ、女性が多く働く業種において相談件数の多いカスタマーハラスメントについて具体的な議論を行ったとされている。 報告書では、①について、「女性活躍推進法については、10年間期限を延長することが適当」や、女性活躍に関する情報公表について、「男女間賃金差異については、101人以上300人以下の企業においても公表を義務とすることが適当」、「女性管理職比率については、企業の実情を踏まえつつ、開示必須項目とすることが適当」──などと示している。 また、②に関する今後の対応の方向性として、「性差の特徴に応じて健康課題に取り組むことは社会的便益につながり、労働者個人の生活や仕事のパフォーマンスの向上につながるという視点が重要。プライバシー保護への留意も必要」、「女性特有の健康課題への取組の要素を女性活躍推進法の事業主行動計画に盛り込むことを検討すべき。行動計画策定指針に、健康支援やヘルスリテラシー向上の意義、プライバシーへの配慮の必要性等を明記することが考えられる。なお、企業が取り組む際には、産業保健スタッフの活用も検討されることが望ましい」、「女性特有の健康課題に取り組む企業を評価するための、えるぼし認定制度の見直しをすることが適当」──などと示されている。 ③では、カスタマーハラスメントについて、「企業横断的に取組が進むよう、対策強化が必要。労働者保護の観点から事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当」、「定義については、社会全体で幅広く受け入れられるものの検討が適当であり、3つの要素(⑴顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと、⑵社会通念上相当な範囲を超えた言動であること、⑶労働者の就業環境が害されること)のいずれも満たすものとして検討すべき」──などと提示している。 厚生労働省では、同報告書を踏まえ、今後、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、引き続き検討を行うとしている。 今号では、報告書の①、③を中心にみていく。
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