特集労働安全衛生法等の改正①
個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
個人事業者等を保護や義務の対象とし混在作業による災害防止対策を強化
政府が令和7年3月14日に国会(参議院)に提出した「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」(令和7年法律第33号。以下「改正法」)が同年5月8日に衆議院本会議で可決・成立した(同月14日公布)。改正法の採決に当たっては、同年4月10日の参議院厚生労働委員会にて16項目、同年5月7日の衆議院厚生労働委員会にて32項目もの附帯決議を付している(16ページ~20ページ参考4・参考5参照)。労働政策審議会安全衛生分科会(分科会長・髙田礼子聖マリアンナ医科大学予防医学教室主任教授。以下「分科会」)では、同年5月27日開催の第176回において、附帯決議も踏まえた改正内容の検討を開始した。 改正法は、令和7年1月17日付の労働政策審議会建議「今後の労働安全衛生対策について(報告)」(以下「建議」)の内容に基づいたもの。多様な人材が安全に、かつ安心して働き続けられる職場環境の整備を推進するため、労働安全衛生法(以下「安衛法」)等の改正により、①個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、②職場のメンタルヘルス対策の推進、③化学物質による健康障害防止対策等の推進(作業環境測定法の改正を含む)、④機械等による労働災害の防止の促進等、⑤高年齢労働者の労働災害防止の推進──等の措置を講ずることとしている(7ページ参考1参照)。 改正内容については、令和7年5月14日(公布の日)から順次施行となるが、②に含まれる「ストレスチェック義務の全面適用」の施行期日は、「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」となっているため、労働者数50人未満の事業場にストレスチェックの実施義務が課されるのは、令和10年度からになる予定(8ページ参考2参照)。 「①個人事業者等に対する安全衛生対策の推進」については、安衛法の保護対象や義務主体として個人事業者等を新たに位置付けるほか、一の場所を管理する事業者に、業種を限定することなく混在作業による労働災害防止措置を求める、個人事業者等の業務上災害の報告制度を創設するなどの大幅な見直しを行うこととしている。今号では、①に関する改正内容についてみていく。
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