特集「骨太方針2024」と「実行計画2024」
最賃全国加重平均1500円の早期化や男女賃金差異の開示義務拡大など示す
令和6年6月21日、岸田文雄内閣総理大臣は、総理大臣官邸で「令和6年第9回経済財政諮問会議・第29回新しい資本主義実現会議」の合同会議を開催した。合同会議では、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(以下「骨太方針」)及び「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」(以下「実行計画」)の案を議論し、同日付で閣議決定に至った。 今年の骨太方針には、「賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現」との副題が付されている。岸田総理は、そのとりまとめに当たって、「今年の骨太方針では、賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現を副題とし、デフレから完全脱却し、日本経済を新たなステージへと移行させるためのビジョンと戦略を示すとともに、その後、少子高齢化、人口減少を克服し、国民が豊かさと幸せを実感できる、持続可能な経済社会を実現すべく道筋をお示ししました。人口減少が加速する2030年度までが経済構造を変革のラストチャンスです。経済・財政新生計画に基づき、経済・財政・社会保障を一体とした改革を進めてまいります」と表明した。 骨太方針は、「第1章 成長型の新たな経済ステージへの移行」、「第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現~賃上げの定着と戦略的な投資による所得と生産性の向上~」、「第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現~「経済・財政新生計画」~」、「第4章 当面の経済財政運営と令和7年度予算編成に向けた考え方」――の4つの章から構成している。「第2章」では、中小企業の賃上げに重点が置かれ、引き続き、「三位一体の労働市場改革」を推進するとした。その詳細については、実行計画の「II.人への投資に向けた中小・小規模企業等で働く労働者の賃上げ定着」及び「III.三位一体の労働市場改革の早期実行」に重点的に記載している。 政府は、今後、上記の政策方針に基づき、予算編成や制度改正において具体化し、速やかに実行していくこととしている。厚生労働省、労働政策審議会等においては、骨太方針等に示された事項について、この夏以降に本格的な検討が開始される見通し。 なお、令和6年6月25日開催の「第68回 中央最低賃金審議会」(会長・藤村博之 労働政策研究・研修機構理事長)及び同月26日開催の「第69回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会」」(分科会長・奥宮京子弁護士(田辺総合法律事務所))では、いち早く骨太方針や実行計画などの政府決定文書の内容が報告された。 ここでは、骨太方針と実行計画が示す雇用・労働政策の内容等を中心に紹介する。
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