特集フリーランスガイドラインの改定
合理的範囲を超えて秘密保持義務課せば 独禁法上優越的地位の濫用として問題に
内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁及び厚生労働省は、令和6年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号。以下「フリーランス法」という)が施行されることから、令和3年3月26日に策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という)について、フリーランス法の施行に伴って構成を整理するとともに、フリーランス法及びフリーランス法の関係政令等の内容を追記するなどの形式的な改定を行い、令和6年10月18日に公表した。 ガイドラインには、①「基本的考え方」、②「特定受託事業者と取引を行う業務委託事業者等が遵守すべき事項等」、③「フリーランスと取引を行う事業者が遵守すべき事項」、④「仲介事業者が遵守すべき事項」、⑤「現行法上『雇用』に該当する場合の判断基準」──が盛り込まれている。 ④では、「自己の取引上の地位がフリーランスに優越している発注事業者が、フリーランスに対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは、当該フリーランスの自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに、当該フリーランスはその競争者との関係において競争上不利となる一方で、発注事業者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがあるものである。このような行為は、公正な競争を阻害するおそれがあることから、不公正な取引方法の一つである優越的地位の濫用として、独占禁止法により規制される」としている。 この、優越的地位の濫用として問題となる行為とは、「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に行われる、『報酬の支払遅延』、『合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定』などに該当する行為」とされている。 例えば、合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定では、「発注事業者が、合理的に必要な範囲で秘密保持義務等を設定することは、直ちに独占禁止法上問題となるものではない。しかし、一方的に当該フリーランスに対して合理的に必要な範囲を超えて秘密保持義務等を課す場合で、当該フリーランスが、今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり、優越的地位の濫用として問題となる」としている。 今号では、「基本的考え方」、「フリーランスと取引を行う事業者が遵守すべき事項」、「仲介事業者が遵守すべき事項」──を中心にみていく。
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