特集「労働基準関係法制研究会」の報告書②
《労働時間法制の具体的課題》
13日超える連続勤務の禁止・法定休日特定する規定の追加等の法改正を提言
厚生労働省は、令和6年7月17日から6ヵ月ぶりの開催となった令和7年1月21日の「第193回 労働政策審議会労働条件分科会」(分科会長・荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授。以下「分科会」)に「労働基準関係法制研究会」(座長・荒木尚志教授)が令和7年1月8日付でとりまとめた「労働基準関係法制研究会報告書」(以下「報告書」。本誌第2192号(2025年1 月21日付)の「特集」、第2193号(2025年2 月1 日付)、第2194号(2025年2月11日付)、第2195号(2025年2月21日付)の「NEWS」参照)を報告した。 報告書では、《労働基準関係法制に共通する総論的課題》においては、「労働者性の判断基準に関する専門家による分析・研究をすること」、「家事使用人に労働基準法を適用すること」、「過半数代表などを法律上に位置づけること」などの見直し案を、《労働時間法制の具体的課題》においては、「割増賃金の支払いでは副業・兼業の時間を通算しない制度に改正すること」、「13日を超える連続勤務を禁止すること」、「法定休日を特定する規定を設けること」、「テレワークに日単位のフレックスタイム制を導入すること」、「週44時間の法定労働時間の特例措置を撤廃すること」などの見直し案を提示して、「厚生労働省においては、この報告書をもって労働基準関係法制に係る研究を終了するのではなく、本研究会のような労働基準関係法制に係る研究を行う場を引き続き設けていくことを要望する」と締めくくっている。 第193回の分科会では、委員から、多数の意見や質問があり、労働基準関係法制の実質的な見直しの検討に入った。今後のスケジュー ルに関して同省は、「改正法案の令和8年の国会提出を目指す場合は、令和7年内または令和8年早々には、議論のとりまとめをお願いすることになる」旨を回答していた。同省では、令和8年1月下旬に召集される通常国会への改正法案の提出を目指すものとみられる。なお、改正法の施行は、一定の周知期間を設けることになるため、早くても令和9年度以降になる見通し。 今号は、上記の《労働時間法制の具体的課題》に関する提言を項目ごとにみていく。なお、《労働基準関係法制に共通する総論的課題》の詳細については、本誌第2192号(2025年1月21日付)の「特集」を参照していただきたい。
News
- (労政審「同一労働同一賃金部会」2月5日に再開) パート法や派遣法の見直しなどを検討
- (労働施策総合推進法等の改正法案) 労政審・カスハラ防止義務を妥当と認めて国会に
- (第210回 職業安定分科会) 令和7年度の雇用保険率が1000分の14.5に確定
- (12月の令和7年卒の内定状況) 大学の内定率は84.3%と前年同期比1.7ポイントの低下に
- (第88回 中小企業退職金共済部会) 特定三業種の退職金共済対応案に大きな反論なし
- (令和6年 民間主要企業年末一時金) 平均妥結額は4.93%増の89万1460円と過去最高額
- (第19回 中高年者縦断調査) 正規職員・従業員は18年で38.7%から2.4%に減少
シリーズ企業税務講座
第134回 令和7年度税制改正大綱
103万円の壁の引上げなど―ただし今後の予算協議次第
シリーズ弁護士&元監督官がズバリ解決!~労働問題の「今」~
第126回 フリーランスの労災保険への特別加入とフリーランス法②
フリーランスが企業等から業務委託を受けて行う事業等が特別加入の対象に
シリーズ労働スクランブル
~働く側の人・組織からの声・意見~
第483回
経営側の春闘認識、人への投資など評価
~経団連の「経労委」報告を評価と相違点で連合見解を表明~
労務相談室
- 懲戒懲戒の弁明の機会設定日に年休取得/処分内容決定できないか
- 労働基準法社員食堂利用料金の半額を返金/割賃の算定基礎か
- 社会保険給与体系を変更し今年度から四半期ごと賞与支給/いつから報酬含むのか
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